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[読め!]「手毬」瀬戸内寂聴

手毬
posted with 簡単リンクくん at 2006. 2.11
瀬戸内 寂聴著新潮社 (1994.12)通常2-3日以内に発送します。


ぱんどら日記のぱんどらさんから推薦いただきました。
ぱんどらさんの感想は「続きを読む」で全文転載させていただいております。
300ページもない文庫本ですが、ちょっと時間をかけて読み終えました。

寂聴先生の文章の、なんと美しいこと……。

そして読みやすく、わかりやすい。

これはすごくいいです。



本書に登場するのは、江戸時代の後期に生きた禅僧の良寛(りょうかん)。

歌人で、書や漢詩にも優れていたお坊さんです。諸国行脚をして帰郷し、まるで仙人のように暮らしていたそうです。

まりつきをして子供たちと遊んだり、頼まれた書や和歌を書いたり。(徳の高いお坊さんだから、そういうことを頼む人も多かったということですね)

この良寛さまの弟子に、貞心という尼さんがいた(広辞苑には出ていました。実在の人物らしい)。

貞心さんの視点で見た、最晩年の良寛さまが本書には描かれています。



貞心さんは結婚に失敗し、離婚して実家に戻っても世間が放っておいてくれないので、うんざりして出家するんです。

どんなに結婚生活が辛かったかは、ここでは省略しますが……

嫁ぎ先での、気色の悪くなるような女中さんの仕打ちが、ちゃんと読者にわかるように、それでいて読者が本を放り出さない程度に、書かれています。


寂聴先生の力量ですね。



しかし貞心さんは、まだ若くて美人。

尼さんとして生きれば独身のまま人生が終わります。

「還俗して(つまり普通の人に戻って)、再婚してもいいんじゃないの?」と言う人もいますが、貞心さんにそんな気はない。

ちっちゃいお堂を一人で守り、内職で着物の仕立てをして生活費を稼ぐ暮らしです。豊かではないけど、心は安らぐのでしょう。


そして貞心さんは良寛さまにものすごく憧れている。

良寛さまの住まいは少し遠いので、たまにしか会えないけど、そのぶん、会えたときの喜びが大きい。

二人で夜更けまで語り合いながら、お酒を飲む場面。酒の肴は漬け物ぐらいなのに、読んでいると、すごく美味しそうに思えて仕方ない。

(さきに気色の悪い場面をきっちり描いておくと、こういう場面が引き立つんですねぇ。プロの技だ!)



しかし貞心さんは、尼になったとはいえ生身の女。良寛さまを慕いながらも、佐吉という若い男にひかれます。

佐吉も美人の貞心さんが気になる様子。でも仏に仕える身の貞心さんに色恋はありえない。

佐吉は好きだなんて簡単に言えないし、言ってもどうしようもないことがわかっている。

わかっていても想いは消せない。そこに葛藤があるわけ。


でも寂聴先生は「そこに葛藤があった。」なんて説明的なことは書かないの。

佐吉と貞心の何気ない仕草や、やりとりから、ほのかに葛藤をにおわせるのですな。

んんんんん。素晴らしい。妙技。



いっぽう、良寛さまはご高齢です。

貞心さんが良寛さまの介護をする場面は圧巻ですね。泣けます。


介護だから、やはり「美しくないもの」を書かなければ、どうしても嘘っぽくなります。

でも直接的な表現ではリアルすぎて、読者は目をそむけたくなる。

こういうバランス感覚が絶妙です。

たとえば、においのことを、寂聴先生は

「異臭が空気をゆるがせた。」

と表現なさるのですね。すごいなぁ……。



また、良寛さまの和歌がたくさん出てくるし、お坊さんと尼さんの話だから、仏教関連の用語も出てきますが、そういうものを知らない人でも、読めば大体のところがわかるように書かれています。

かといって、いちいち和歌の意味や用語の意味を解説するわけではないんですよ。

このへんも絶妙。


この前、「ふわーっと始まって、ふわーっと終わる」感じの、若い作家さんの本を読んで、ちょっと物足りなさを感じたところですが……

淡々とした表現をかさねながら、ぐわーっと感動を与えてくれる本に大いに満足です。
author: ざれこ
企画10:この本を読め!(エントリ作品) | permalink | comments(3) | trackbacks(2) |
 
 

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Comments:
ネットで瀬戸内寂聴著新潮社などさせていただいております
ネットで手毬とかを発送された


comment by: BlogPetのごろう | 2006/02/11 10:59 AM
ネットで大きい全文を推薦しなかったよ。


comment by: BlogPetのごろう | 2006/02/18 10:27 AM
ざれこは、手毬や、瀬戸内寂聴著新潮社や瀬戸内寂聴著新潮社などさせていただいております
大きいどら日記とどら日記とかを推薦されたみたい。


comment by: BlogPetのごろう | 2006/02/25 10:40 AM
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